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ピンポン ドラゴンは誰のために卓球をやっているのか問題

2014年4月から17年前の卓球漫画をアニメ化した「ピンポン」という作品がある。

9話において、ドラゴンは誰のために卓球をやっているのか

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その返答がアクマと真田で変わります。この解釈が放送終了後、自分とまとめサイトなどで見た解釈と違うのでとりま自分の解釈を書こうと思う。原作は既読です。

自分はアクマへ言った「無論、自分のため」が本音で、真田へ言った「・・・無論、チームのため」がだと思っている。正確には、自分の「勝利」のためだと思っている。だが放送後の巨大掲示板様をまとめたサイトではアクマへ言ったのが嘘で真田へ言ったのが本音というもの。(どちらも嘘で~など他の意見もあるが、その辺りはもうググって見てください)

 

解釈はアクマに「自分のため」と言った後に続く会話が大きい。

 

アクマ「冗談言わないでください。今のが本音なら、俺だって何も」

アクマ「ちっ、余計なこと言ってるなどうも・・・すいません忘れてください」

真田「佐久間よ、恨むか?私を」

アクマ「同情してますよ。あなたには、わからないでしょうけど」

そしてタイトル、「少し泣く」は何に泣いているのか。

まとめサイトで見た解釈は誰のためにやっているかだけ注視して、その後の会話がどういう意味をもっているか説明不足というのが本音。そのため、自分の解釈に説得力を持たすよう色々書いてく。

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アクマの「今のが本音なら、俺だって何も」に続く言葉は何だろうか。すぐ後に続く「恨むか?私を」というセリフと一緒に考えるとドラゴンが卓球をやるのが自分のためだった場合、恨まれるようなことだとドラゴンは認識しているということだ。

思うに、アクマはチームのためにドラゴンは卓球をやっていると思ったからスマイルに戦いを挑んだ。ユースオリンピック優勝して帰国したインタビューで、海王を憂いチーム全体の総合力が低下しておりスマイルが必要と言ってるため、憧れのドラゴンに褒めてもらいたい・スマイルがいなくてもやっていける証明のためにスマイルに挑んだ。そして負け卓球を辞めることになった。

それが、ドラゴン自身のためにやっているのであれば何もスマイルに挑むほど追い詰められなかったし、卓球をやめることもなかった。と言いたかったんだと思う。だから余計なこと言ってるなとつぶやき、ドラゴンは恨むか?と聞いたのではないか。

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さらに、トイレという場所は7話で叔父でコーチの風間卓が逃げ込んでいる絵を思い出す。おじじが「男が泣く所を人に見せるな。人に弱みを見せるな」という回想があったように、トイレはドラゴンにとっても弱みを隠す場所だと思う。ならば余計本音を言わないのではないかと思うかも知れないが、もうアクマはドラゴンの卓球をやる重圧(この一言で片付けられないほどの色んなことがありますが)をわかっているので本音・弱みを隠すことに意味がない。笑うか?ってドラゴンが聞いてるセリフもありますし。

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では、真田に何故嘘をついたのか。

真田は「きさん、らしか答えじゃ」やスマイルとの戦い中に「チームのことば、一番に考えちょった」等、ドラゴンはチームのことを考えていると思ってます。アクマがスマイルに挑んだ時に海王の今後を憂いたことや、オリンピックユースでのインタビューで海王にスマイルみたいなのをと発言したことから海王・チームのことを考えていると思ったのではないでしょうか。

ちなみに、ドラゴンは何故スマイルを欲しがったのでしょうか。ド ラゴンが2年生の予選時、スマイルに「海王の連中は使えないグズばかりだ。自覚がない分、質が悪い。」片高にコーチと来て勧誘した時も「淀んだ川の水を好 んで住み着く魚もいるのだよ。それは習性であり決して変化することはない」等々、周りの人についてディスりまくってます。このまま使えない海王の連中ばか りだと、自分も腐る。海王の連中とは違う次元を身につけているスマイルならばいい練習相手になるから。2話でペコもスマイルがいないと練習にならないと言ってたように。

そうして自分の練習相手のために欲しいと言ったスマイルを、海王のチームとしての勝利のために欲しがっている、と思っている真田にドラゴンは真田の期待通りに応えたいから嘘をついたんじゃないかと思ってます。周りからの勝って当たり前の期待通り生きてきたから。

6話で海王の練習シーン、猫田が「真田がおらんかったら今頃チームはバラバラや。お前がキャプテンやったらええのにな」というセリフからもドラゴンがチームのために卓球を、とは考えにくい。しかもスマイルが「佐久間を退部に追いやった僕が海王に行ってどうなります」というセリフを逆に考えるとドラゴンはそんなやつでも海王に入れたがっている。バラバラ必至です。

 

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泣く理由

トイレに行く前に対戦表を見てペコがチャイナに勝っているのを見て「泣けるぜ」っていうセリフがあります。ここが重要です。小さい頃に憧れたヒーローが帰ってきてくれたからのセリフです。

その後、高校でのアクマのヒーローはドラゴンでした。そのヒーローが卓球をチームのためじゃなく自分のためにやっていると本音を知って、ヒーローじゃなくなってしまったことに泣いたのだと思います。

 

 ※11話で小泉・田村・おじじの会話で、おじじは「勝つことがみんなを幸せにすると思っていた」と話したり、小泉が誰のために卓球やっているとおじじに聞くと「無論みんなのため」と答え田村のおばばに「嘘つけ。まぁ、あんたらしい答えだけどな」と言われます。   自分の考えと、周りからはそういう考えだと見られていないというのがドラゴンとおじじなのかなぁと思ったりしました。

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原作では出てこない、ドラゴンの父親。何故このキャラを出してきたのかもついでに考えました。

ドラゴンの父親は、原作でドラゴンがヒーローについて何かしらの思い入れがあるようなセリフがあり、その肉付けために出したのだと思います。

6話で「ヒーローなどいない。あるのは現実と、それに適合できるものだけが勝者となる事実だ」や7話の父親の事業の失敗から冷遇、卓球の才能が見えるとおじじからの厚遇。

ドラゴンにとって、父親はヒーローだった。だけど商売の「才能」がなかったから失敗し結局亡くなった。父親=ヒーローの不在により、自分の背中にすべてが寄りかかってきた。父親が失敗しなかったら、ドラゴンの絶対勝利、海王の常勝などのプレッシャーに出会うことはなかったし、ヒーローの父親に教えてもらった卓球を苦痛に思わなかっただろう。

おじじに負けは死と同義だと教えこまれたため、父親の事業失敗=敗北=死を見たドラゴンは余計敗北に怯え、さらに海王の勝利、勝利によるポセイドンの広告、おじじの金で生きる家族を背中に抱えるプレッシャーでトイレにこもります。ヒーロー=父親がいたなら、こうはならない

ドラゴンにヒーローはいません。目の前にヒーロー不在による過酷な現実があるからです。

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スマイルが掃除ボックスにこもったようにドラゴンはトイレにこもります。スマイルがそこから助け、救って欲しいようにヒーローを信じることができなくなったドラゴンも救うのが10話「ヒーローなのだろうが!!」です。